社会派ブロガーちきりんの人格を生成AIで再現!

2025/03/13
SNSでの発言と主要な著作を複数読み込ませ、著者の人格を生成AIで再現したチャットボットを開発する試み


「AIと共に生きる社会をつくる」をビジョンに掲げ、人工知能の社会実装を実現するAI事業創造に取り組む株式会社デジタルレシピ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:伊藤新之介)は、社会派ブロガーちきりん氏の人格を生成AIで再現するチャットボット「ちきりんAI」を、ちきりん氏および同氏の著作を多数発行するダイヤモンド社と共同開発しました。





 

開発の背景・目的


近年における生成AIの進化は目覚ましく、テキスト生成だけでなく、特定の「人格」や「スタイル」を再現する方向にも向かっています。特に、著者や有名人のスタイルを模倣するような形で、その特徴的な言葉遣いやテーマへのアプローチを学習させることが可能となってきました。

たとえば、特定の著者の文章を多く学習させることで、その人物の表現スタイルや文体を模倣した文章を生成することができます。しかし、著者本人の「人格」そのものを完全に再現するのはまだ難しく、人間の複雑な感情や思考プロセスまでを正確に表現するには限界があります。

現在のAIは、膨大なデータからその人らしいパターンを再現できるところまで来ていますが、その再現はあくまでデータに基づいたものであり、「本物の人格」を持つわけではありません。しかし、この技術が進むにつれ、さらに自然で、より個性的なテキスト生成ができるようになる可能性は高いと考えられます。

デジタルレシピでは、有益なコンテンツやノウハウを有する著名人を生成AIによって再現することで、ご本人様の活躍の場をさらに広げる一助となり、良質な情報をもっと身近に感じられる世界を目指して今回のサービスを企画するに至りました。

「ちきりんAI」の特徴
「ちきりんAI」は、ちきりん氏の協力のもと、「はてなブログ」の人気コンテンツ「Chkirinの日記」の全文章のほか、X(旧Twitter)の特徴的なつぶやきを学習させています。また、ダイヤモンド社から刊行されるベストセラーシリーズである下記4冊を読み込ませることで、ちきりん氏の知見を反映させることに成功しました。



AIが学習した書籍(いずれもダイヤモンド社刊行)
『自分のアタマで考えよう』


『マーケット感覚を身につけよう』

『自分の時間を取り戻そう』

『自分の意見で生きていこう』

SNSでの発言だけでなく、主要な著作を複数読み込ませて、著者の人格を生成AIで再現するチャットボットは、本邦では初の試みとなります。





 

ユーザーテストについて


デジタルレシピでは本サービスの開発に伴い、ちきりん氏が運営するコミュニティ内から有志を募り、約1ヶ月に及ぶユーザーテストを実施しました。このユーザーテストにより、「ちきりんAI」に対する需要性やサービス価値の検証、およびサービスにおける改善点など多くのフィードバックを得ることができました。以下、本ユーザーテストによって得られた結果についてご報告致します。

ユーザーテストの概要
実施期間  :2024年8月7日〜9月8日

実施方法  :コミュニケーションアプリ「LINE」上でのチャットボット運用

テストしたAI:2種類

参加人数  :178名

会話数   :7,343件(AIによる返答含む)

結果のサマリー
回答に対して「ちきりんさんらしい」と感じたという声が多く、AIがパーソナリティを反映していると高い評価を得られた

質問によってAIの対応が柔軟で、知識を深められたと感じるユーザーが多かった

旅行関連コンテンツや哲学的な質問など、ちきりん氏ならでは話題に対する回答も好評


 
会話のログから、ちきりん氏へ助言を求めたり意見交換をしたいというニーズが顕著に現れました。



 
また、最も会話されたテーマはビジネスや経済のジャンルとなりました。







具体的な改善点と次のステップ


今回のユーザーテストでは多くの方々からポジティブな反応を得ることができました。一方で、本チャットボットの仕様による回答の精度や、AIとの会話をよりよくするために必要不可欠となる機能要件も明確になりました。現時点での「AIちきりん」の改善すべき点は以下となり、今後は本チャットボットのサービス化に向けて機能改善を進めていきます。

①応対の速度や安定性
AI側のレスポンスに対するスピード改善を求められている

②対話の深みを増す
一問一答形式から脱し、より対話的なコミュニケーション(前の回答に基づいた継続的な会話)の実現

③回答の精度と簡潔さ
回答が長文になりすぎないようにし、文脈をよりよく理解した回答を目指す

期待される影響
書籍データを含む膨大なデータから著者らしいパターンを発見し人格を再現することで、本を読んで知識を得るという体験から、まるで本と会話をしているような体験へ進化することができると考えてます。これにより、読書が苦手な層に対しても書籍が持つ価値を届けることができるようになります。

また、日常的に読書を楽しんでいる層に関しては知識の深掘りを実現することができたり、読了した書籍から必要な情報を効率的に引き出すことも可能になります。